■
哲学(演習) /科学哲学(演習)シラバス
論理学1(講義)(前期 火5)(矢田部俊介)
授業開始:4月13日(火)
本授業は教務掛での分類でいうところの「対面授業が実施できない科目」に相当し、
本授業はオンライン(PandAのZoom機能)で行います。
- 授業資料は、PandAの授業サイトより配布します。各自、授業前にダウンロードして目を通してください。
- 当日の授業は PandA のZoom機能を使います(今大流行のインターネットWeb会議システムです)。
- Zoomへの参加は、PandAのページからリンク経由で入って下さい。
- Zoomは会議システムなので、双方向なのがウリです。授業中の質問等は、Zoomで聞いてください。
- 授業の模様はYouTubeでも配信する予定です。復習や、所用で授業に出れなかったなどの場合のフォローアップにご活用下さい。ご参考までに、昨年度の授業の模様は以下からご覧頂けます
- https://kyoto-logic.hatenablog.com からyoutube動画へリンクしています。
- https://www.youtube.com/channel/UCwXt5me9JwL1N7gkXIDLYXQ YouTube channel “Kyoto Logic”
- 宿題は、PandAにアップロードし提出して下さい。
- 宿題は「証明図を書け」という問題が多いのですが、電子ファイルで作るのが面倒な場合、自分で紙に書いた証明図を携帯電話のカメラで撮影してもらい、その画像をアップしてくだされば十分です。
最新の情報は本BlogおよびPandAで発信します。チェックをお願いします。
https://kyoto-logic.hatenablog.com/
授業の概要・目的
本授業の最終的な目標は、受講者が論理的で明晰な思考に慣れ、何かを主張する際にはその主張がどのような根拠に基づいているかを明確化し、抜けも漏れもない論証ができるようになることである。そのための練習の題材としては、哲学的論理学、そのなかでも 「論理とは何か」という問題をとりあげる。我々は日常、推論を行い、そして「論理的」という言葉をよく使う。もちろん「論理的」であることが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。
本演習では、数学における定理の証明がシミュレートできる、「論理」と呼ばれうるような、記号を処理する体系(「形式的体系」)を紹介する。 具体的には、最小述語論理の自然演繹の体系の解説と問題演習を行う。
到達目標
最小述語論理の自然演繹で、基本的な演習問題が解けるようになる。このことを通し、形式的体系における演繹がどのように進むのかを理解し、同時に日常的な推論がどのように形式的体系においてシミュレートされるのかを理解する
授業計画と内容
最小述語論理は、論理結合子の導入規則と除去規則のみを持つ、基本的な論理体系の一つである。前期の前半は、まず最小述語論理の自然演繹の体系を紹介する。問題演習を通じ、各自が自然演繹の証明が出来るようになることが目標である。また、後半には、最小論理上で算術の体系「最小算術Q」を例に、数学における多くの証明が最小論理で遂行可能であることを示す。同時に、原始再帰法など計算の基本概念を紹介する。。
具体的な授業計画は以下の通り。
履修要件
特になし(ただし後期の哲学演習の履修は、本授業の履修が必要となるので注意すること)
成績評価の方法・基準
ほぼ毎回出題する宿題の累計成績に準じて行う。
授業外学習
授業資料は毎回、事前(1~2日前)にPandA にアップする。学生は、授業前に資料にざっと目を通しておくことが望ましい。
教科書
毎回PandAよりハンドアウトを配布する。
参考書等
- 戸次大介 『数理論理学』(東大出版会)
その他(オフィスアワー等)
形式的な体系を理解するためには、まず手を動かして練習問題の証明をやってみよう。記号の意味は何か、と考えるのはそれから。
※オフィスアワーは、Zoomで実施します。PandAで確認してください。
■
論理学上級I 「ウソツキのパラドックス2020(傾向と対策)ー真理理論入門」(矢田部俊介)
スケジュール
- 3/13 午前1000-1200:ウソツキのパラドックス・傾向と対策(総論) https://youtu.be/gvBIHPKeN9Y
- 3/13 午後1400-1600:タルスキの真理定義 https://youtu.be/F5lkKio7RTE
- 3/14 午前1000-1200:デフレ主義的真理理論 https://youtu.be/v5pxSyqep-k
- 3/14 午後1400-1600:ヤブローのパラドックスと余帰納的定義 https://youtu.be/bEHU9hAsrX8
受講対象者
哲学・形式言語学・計算機科学を専門とする大学院生以上を受講者として想定していますが、どなたでも参加することが可能です。閲覧はYouTubeからです。ただし、古典命題論理を完全性定理まで履修ないし自習済みであることが授業の前提となります。
授業概要
真理概念は、日常的に一般論を述べる時などに使用されるが、何も考えずに古典論理上で真理概念の無制限な形式を使用すると、ウソツキ文「この文はウソである」が定義され、ウソツキのパラドックスにより矛盾が導かれてしまう。
ウソツキのパラドックスはそのバリエーションも多く、真理述語に制限を加えてウソツキ文を定義出来なくしても、無限後退なバージョンであるヤブローのパラドックスが起こり、体系がω矛盾(有限性概念が非標準的になってしまう)になってしまうことが知られている。
そのため、本コースでウソツキのパラドックスに関する議論を概観すると共に、 標準的な解決法である古典論理上のタルスキの真理定義を紹介する。また、合わせてそのバリエーションであるヤブローのパラドックスについて、それが大きな問題となるデフレ主義的真理理論の文脈を再確認するとともに、ヤブロー文の振る舞いを計算機科学的に分析する。
各回の内容
[2020CAPE公開セミナー] 論理学上級 I-1「ウソツキのパラドックス・傾向と対策(総論)」
- 京都大学大学院文学研究科 応用哲学・倫理学センター(CAPE)の公開セミナー「論理学上級I:ウソツキのパラドックス(傾向と対策)2020 ー真理理論入門」」の第一回
- 3月13日(土)1000-1200
真理概念は、日常的に一般論を述べる時などに使用されますが、何も考えずに古典論理上で真理概念の無制限な形式を使用すると、ウソツキ文「この文はウソである」が定義され、ウソツキのパラドックスにより矛盾が導かれてしまいます。真理概念は自然言語の意味を考える上で重要なものであるだけに、多くの哲学者の頭を悩ませてきました。
公開セミナー第一回は、これまで提案されてきた主要な解決法(タルスキ、クリプキ、非古典論理の使用)を紹介し、何が問題になってきたかを概観します。
[2020CAPE公開セミナー] 論理学上級 I-2「タルスキの真理定義」
- 京都大学大学院文学研究科 応用哲学・倫理学センター(CAPE)の公開セミナー「論理学上級I:ウソツキのパラドックス(傾向と対策)2020 ー真理理論入門」」の第二回
- 3月13日(土)1400-1600
真理概念を無制限に使用するとウソツキのパラドックスにより矛盾が起きてしまいます。第一回でいくつかその「解決法」を紹介しましたが、その中でもっとも有名なのが、このタルスキの真理定義です。タルスキは、「真理概念」と呼ばれうるものなら満たしているべき性質(T-文)を明確化した上で、そのモデルを超限帰納的に構成して見せ、その真理理論が(相対的に)無矛盾出あることを示しました。さらに、そのモデルは、指示概念をベースとするもので、現在論理学の授業で習う「タルスキ・モデル」は、その流れをくむものです。
公開セミナー第二回は、タルスキの真理理論と真理定義(モデルの構成)を紹介します。
[2020CAPE公開セミナー] 論理学上級 I-3「デフレ主義的真理理論」
- 京都大学大学院文学研究科 応用哲学・倫理学センター(CAPE)の公開セミナー「論理学上級I:ウソツキのパラドックス(傾向と対策)2020 ー真理理論入門」」の第三回
- 3月14日(日)1000-1200
前回、タルスキの真理定義について紹介しましたが、タルスキの結果は大変素晴らしいものであり、その結果を受けて多くの哲学者が真理概念をどういうものであり、どういう性質を満たすべきかについて論争を始めます。その中で「デフレ主義」が台頭してきます。真理概念とは、タルスキの真理定義によって特徴付けられるような、最小限のものであるという主張です。デイヴィッドソンの批判の後、その批判を一部くみ取る形で、デフレ主義的真理理論は公理的な真理理論として形式化されてきました。
公開セミナー第三回は、デフレ主義的な真理理論とその公理的な形式化を紹介します。
[2020CAPE公開セミナー] 論理学上級 I-4「ヤブローのパラドックスと余帰納的定義」
- 京都大学大学院文学研究科 応用哲学・倫理学センター(CAPE)の公開セミナー「論理学上級I:ウソツキのパラドックス(傾向と対策)2020 ー真理理論入門」」の第四回
- 3月14日(日)1400-1600
前回、デフレ主義的真理理論について紹介しましたが、公理的な真理理論の研究の中で、矛盾を導かないまでも、困った現象が起こることがわかってきました。真理述語に制限を加えてウソツキ文を定義出来なくしても、無限後退なバージョンであるヤブローのパラドックスが起こり、体系がω矛盾(有限性概念が非標準的になる、つまりそのモデルには無限大のような自然数が含まれる)になってしまうのです。これは困ったことですが、その原因には、ヤブロー文の「まるでフラクタル図形のような」不思議な性質があります。
公開セミナー第四回は、ヤブローのパラドックスについて考察し、ヤブロー文の振る舞いを計算機科学的に分析します。
■
授業内容
後期授業第十二回目、本日は古典述語論理のタルスキモデルと、完全性定理および健全性定理の話をします。
前期の授業でやったように、そもそも述語論理は無限個の対象に関する推論を行うために導入されたものであり、述語論理のモデルは、命題論理に比べれば複雑なものとなります。今回は、古典述語論理のタルスキモデルがどのような考え方の元に作られたかを説明します。同時に、古典述語論理の完全性定理の証明について、古典命題論理の完全性定理の際に使われた証明探索樹による構成法について、どう修正が必要かを解説します。
■
後期授業第十回目の今回は、古典論理のモデルの紹介を行います。前回演習で紹介したように、古典論理での証明は、排中律をアクロバチックに使う事が可能なため、大変複雑なものになります。では人はなぜ古典論理を使うかというと、そのモデルが非常に簡単で分かりやすいものだからです。古典論理は直観主義論理の拡張であるため、古典論理のモデルは直観主義論理のクリプキフレームに制限を加えたものとなるはずですが、では、具体的にはどのようなものとなるのでしょうか。排中律は、直観主義論理のモデルの基本的なアイディアである「ある命題が真であるとは、その命題の証明を知っていることである」に、どのような変更を加えるのでしょうか。