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授業の概要・目的
本授業の最終的な目標は、受講者が論理的で明晰な思考に慣れ、何かを主張する際にはその主張がどのよ うな根拠に基づいているかを明確化し、抜けも漏れもない論証ができるようになることである。そのための練習の題材としては、哲学的論理学、そのなかでも 「論理とは何か」という問題をとりあげる。我々は日常、推論を行い、そして「論理的」という言葉をよく使う。もちろん「論理的」であることが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。
本演習では、数学における定理の証明がシミュレートできる、「論理」と呼ばれうるような、記号を処理する体系(「形式的体系」)を紹介する。 具体的には、最小述語論理の自然演繹の体系の解説と問題演習を行う。
到達目標
最小述語論理の自然演繹で、基本的な演習問題が解けるようになる。
このことを通し、形式的体系における演繹がどのように進むのかを理解し、同時に日常的な推論がどのように形式的体系においてシミュレートされるのかを理解する。
授業計画と内容
最小述語論理は、論理結合子の導入規則と除去規則のみを持つ、基本的な論理体系の一つである。前期の前半は、まず最小述語論理の自然演繹の体系を紹介する。問題演習を通じ、各自が自然演繹の証明が出来るようになることが目標である。
また、後半には、最小論理上で算術の体系「最小算術Q」を例に、数学における多くの証明が最小論理で遂行可能であることを示す。同時に、原始再帰法など計算の基本概念を紹介する。
具体的な授業計画は以下の通り。
履修要件
特になし(ただし後期の哲学演習の履修は、本授業の履修が必要となるので注意すること)
成績評価の方法・基準
ほぼ毎回出題する宿題の累計成績に準じて行う。
授業外学習
授業資料は毎回、事前(1~2日前)に本website にアップします。学生は、授業前に資料にざっと目を通しておくことが望ましい。
教科書
毎回ハンドアウトを配布する。
参考書等
- 戸次大介 『数理論理学』(東大出版会)
- 作者: 戸次大介
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2012/03/01
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その他(オフィスアワー等)
形式的な体系を理解するためには、まず手を動かして練習問題の証明をやってみよう。記号の意味は何か、と考えるのはそれから。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。