基礎演習 I 論理学

京都大学文学部の「基礎演習 I 論理学」(毎週火曜日16:30〜18:00)の授業Blogです。

現代文化学基礎演習I/哲学(演習) シラバス

論理学(講義)(前期 火5)(矢田部俊介)

  • 現代文化学基礎演習I (科学史科学哲学 017)
  • 哲学(演習) (哲学専修 5141-012)  

場所:文学部第5講義室

授業開始:4月11日(火)

授業の概要・目的

 本授業の最終的な目標は、受講者が論理的で明晰な思考に慣れ、何かを主張する際にはその主張がどのような根拠に基づいているかを明確化し、抜けも漏れもない論証ができるようになることである。そのための練習の題材としては、哲学的論理学、そのなかでも「論理とは何か」という問題をとりあげる。我々は日常、推論を行い、そして「論理的」という言葉をよく使う。もちろん「論理的」であることが要求される。しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。
本演習では、数学における定理の証明がシミュレートできる、「論理」と呼ばれうるような、記号を処理する体系(「形式的体系」)を紹介する。具体的には、最小述語論理の自然演繹の体系の解説と問題演習を行う。

到達目標

最小述語論理の自然演繹で、基本的な演習問題が解けるようになる。このことを通し、形式的体系における演繹がどのように進むのかを理解し、同時に日常的な推論がどのように形式的体系においてシミュレートされるのかを理解する。

授業計画と内容

最小述語論理は、論理結合子の導入規則と除去規則のみを持つ、基本的な論理体系の一つである。
前期の前半は、まず最小述語論理の自然演繹の体系を紹介する。問題演習を通じ、各自が自然演繹の証明が出来るようになることが目標である。また、後半には、最小論理上で算術の体系「最小算術Q」を例に、数学における多くの証明が最小論理で遂行可能であることを示す。同時に、原始再帰法など計算の基本概念を紹介する。

履修要件

特になし(ただし後期の哲学演習の履修は、本授業の履修が必要となるので注意すること)

成績評価の方法・基準

ほぼ毎回出題する宿題の累計成績に準じて行う。

授業外学習

授業資料は毎回、事前(1~2日前)に本website にアップします。学生は、授業前に資料にざっと目を通しておくことが望ましい。

教科書

毎回ハンドアウトを配布する。

参考書等

  1. 戸次大介 『数理論理学』(東大出版会
  2. 小野寛晰 『情報科学における論理』(日本評論社
  3. Dag Prawitz 『Natural Deduction: A Proof-Theoretical Study』

その他(オフィスアワー等)

形式的な体系を理解するためには、まず手を動かして練習問題の証明をやってみよう。記号の意味は何か、と考えるのはそれから。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。