基礎演習 I 論理学

京都大学文学部の「基礎演習 I 論理学」(毎週火曜日16:30〜18:00)の授業Blogです。

シラバス(前期)

後期授業のシラバスは、9月に掲載いたします。

  • (科目名) 哲学(演習)
  • (英 訳) Philosophy (Seminars)
  • (配当学年) 全回生 (単位数) 2単位 (開講期) 前期
  • (曜時限) 火5 (教室) 8演 (授業形態) 特殊講義
  • (題目) 論理学

授業の概要・目的

本授業の最終的な目標は、受講者が論理的で明晰な思考に慣れ、何かを主張する際にはその主張がどのよ うな根拠に基づいているかを明確化し、抜けも漏れもない論証ができるようになることである。そのための練習の題材としては、哲学的論理学、そのなかでも 「論理とは何か」という問題をとりあげる。我々は日常、推論を行い、そして「論理的」という言葉をよく使う。もちろん「論理的」であることが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。
本演習では、数学における定理の証明がシミュレートできる、「論理」と呼ばれうるような、記号を処理する体系(「形式的体系」)を紹介する。 具体的には、最小述語論理の自然演繹の体系の解説と問題演習を行う。

授業計画と内容

最小述語論理は、論理結合子の導入規則と除去規則のみを持つ、基本的な論理体系の一つである。前期の前半は、まず最小述語論理の自然演繹の体系を紹介する。問題演習を通じ、各自が自然演繹の証明が出来るようになることが目標である。
また、後半には、最小論理上で算術の体系「最小算術Q」を例に、数学における多くの証明が最小論理で遂行可能であることを示す。同時に、原始再帰法など計算の基本概念を紹介する。

履修要件

特になし

成績評価の方法・基準

ほぼ毎回出題する宿題の累計成績に準じて行う。

教科書

毎回ハンドアウトを配布する。

参考書等

戸次大介『数理論理学』(東大出版会)
小野寛晰『情報科学における論理』(日本評論社)
Dag Prawitz『『Natural Deduction: A Proof-Theoretical Study』(Dover)

その他(授業外学習の指示・オフィスアワー等)

形式的な体系を理解するためには、まず手を動かして練習問題の証明をやってみよう。記号の意味は何か、と考えるのはそれから。