基礎演習 I 論理学

京都大学文学部の「基礎演習 I 論理学」(毎週火曜日16:30〜18:00)の授業Blogです。

後期授業(火5限 文学部第5講義室)

    • 哲学(演習) 後期 火5 5講
    • 科学哲学科学史(演習) 後期 火5 5講

授業の概要・目的

我々は日常的に推論を行う。また「論理的」という言葉をよく使う。哲学においてももちろん「論理的」であることが要求される。 しかし、「論理」とはいったい何だろうか。日頃、無反省に、知っているつもりで使っている概念の意味を問い直すのは、哲学の重要な仕事の一つである。
また「論理」とはいったい何かという問題は、現代の大きな問題である。というのも、20世紀以降、古典論理の体系以外にも多くの異なる論理体系が提案されているからである。それらの非古典的な体系が論理と呼ばれるなら、ある体系が「論理」と呼ばれるためには、どんな性質を満たしていることが必要だろうか。
本演習では、最小述語論理の自然演繹の体系の解説から始め、最小論理・直観主義論理・古典論理での論理式の証明とそのモデルを使った議論が出来るようにすることを目的とする。その中で、単なる記号の処理を行なう体系が「論理」と呼ばれるにはどんな性質を満たす必要があるかを考察する。

到達目標

直観主義論理と古典論理の自然演繹で、基本的な演習問題が解けるようになる。また、古典論理の完全性定理の証明を理解し、モデル論的意味論の意義を理解する。

授業計画と内容

前半では、前期に紹介した最小述語論理を例にとり、論理結合子の意味とは何かを、「証明論的意味論」と呼ばれる立場から考察する。具体的には、プライアーの「トンク」の例を題材に、論理結合子の条件とは何かを考え、保存拡大性や証明の正規化といった論理学の基本概念を理解することを目指す。 後半では、最小論理に論理規則を付加し拡張した論理体系を紹介する。つまり、最小論理に矛盾律排中律と論理規則を加え、直観主義論理、古典論理の体系を得る。これらの例により、論理規則が加わるにつれて、論理式の証明は難しくなるものの、そのモデルは簡単になることを示す。また、その考察により、健全性や完全性といった記号とモデルの関係に関する基本概念の理解を目指す。
最後に、論理学の話題として、ゲーデル不完全性定理等も紹介する(検討中)。

履修要件

前期の演習を履修すること

成績評価の方法・観点及び達成度

ほぼ毎回出題する宿題の累計成績に準じて行う

教科書

使用しない
毎回ハンドアウトを配布する。

参考書等

参考書
関連URL

http://d.hatena.ne.jp/kyoto_logic/(授業Blog: 休講等の連絡、ハンドアウト配布)

授業外学習(予習・復習)等

授業資料は毎回、事前(1日前まで)にwebsite (授業Blog)にアップします。学生は、授業前に資料にざっと目を通しておくことが望ましい。

その他(オフィスアワー等)

形式的体系を理解するためには、まず手を動かして練習問題の証明をやってみよう。記号の意味は何か、と考えるのはそれから。
※オフィスアワー実施の有無は、KULASISで確認してください。